乳腺内に腫瘤を形成した悪性黒色腫の1例
症例
乳腺 40歳代 女性
1ヶ月前から右乳腺にしこり自覚。境界明瞭で可動性良好な2cm大の腫瘤性病変を認め、穿刺吸引細胞診施行。細胞診依頼書に記載されていなかったが、鼻腔腫瘍の手術歴があった。
1ヶ月前から右乳腺にしこり自覚。境界明瞭で可動性良好な2cm大の腫瘤性病変を認め、穿刺吸引細胞診施行。細胞診依頼書に記載されていなかったが、鼻腔腫瘍の手術歴があった。
細胞診所見
結合性が乏しく、N/C比の高い比較的均一な細胞が多数みられる。核形不整とクロマチン増量があり、核小体は明瞭。メラニン顆粒や核内封入体(アピッツ小体)を有する細胞や、メラノファージの混在をごく少数認めた。背景に双極裸核は認めない。
組織所見
所々メラニンを伴う異型細胞の増殖を認め、S-100やHMB45が陽性であり、鼻腔悪性黒色腫の乳房内転移再発と診断。
まとめ / 考察
悪性黒色腫の細胞形態は様々で、メラニン産生所見が重要だが、メラニン産生が乏しい症例もあり、アピッツ小体など手かがりとなる所見がないか慎重に観察を行う。また、既往歴(特に悪性腫瘍)を含む患者情報は必ず確認する。