卵黄嚢腫瘍への分化を伴った子宮類内膜癌の1例

山田知里 大池里枝 佐藤朋子 佐竹立成

症例

子宮体部 30歳代 女性
不正性器出血を主訴に受診した。子宮内腔から頸部に径4cmの腫瘤が突出していた。

細胞診所見

核形不整に乏しい類円形細胞が重積性を伴う細胞集塊を形成して認められた。孤在性に剥離する細胞は裸核様だった。腫瘍細胞の核は小さく、核クロマチンは細網状・細顆粒状で、軽度に増量し、小型の核小体が認められた。細胞質は緑色調に淡染し、細胞膜は不明瞭であった。

組織所見

内膜生検HE染色像には小型均一大の核を有し細胞境界が不明瞭な腫瘍細胞の充実性胞巣が認められた。免疫染色ではSALL4、Glypican3に陽性を示し、βHCGに陰性を示した。摘出された子宮の腫瘍部では、この腫瘍に連続して子宮類内膜癌の像が腫瘍の約50%に認められた。以上の所見より卵黄嚢腫瘍への分化を伴った子宮類内膜癌と診断された。

まとめ / 考察

卵黄嚢腫瘍の組織像は多彩であり、細胞像も多彩であるが、今回の症例は充実型の細胞像と考えられた。

病院別