上衣腫(WHO gradeⅡ)の1例

○山田千里、大池里枝、田中瑞穂、西川恵理、佐藤朋子、佐竹立成

症例

脳 70歳代 男性
入浴後に意識消失を来たし、救急搬送される。スクリーニング頭部MRIにて左前頭葉頭頂部皮質下腫瘤を指摘。左前頭蓋底髄膜腫の指摘もあり、左蝶形骨縁髄膜腫腫瘍栄養血管塞栓術施行時に当該部位から生検された。

細胞診所見

(術中迅速捺印標本)類円形~紡錘形でごま塩状のクロマチン増量を示す核と、細長い突起様の細胞質を持つ腫瘍細胞がrosetteを形成し増殖していた。

組織所見

類円形核の均一な細胞が充実性に増生し、多数の上衣ロゼットと上衣細管がみられた。血管周囲性偽ロゼットははっきりしなかったが、血管周囲無核帯が不明瞭ながら認められた。好酸性のdot状構造は認められなかった。免疫組織化学的に腫瘍細胞はvimentin(+) ,AE1/AE3(-),GFAP(+,血管周囲),EMA(+,上衣ロゼットの腺腔側細胞膜)であっった。MIB1 index<5%であった。以上より、上衣腫(WHO gradeⅡ)と診断した。

まとめ / 考察

上衣腫は上衣細胞への分化を示す細胞から構成される腫瘍で、血管周囲偽ロゼットや上衣ロゼットの出現を特徴とする腫瘍である。ロゼットの出現する脳腫瘍として髄芽腫があり、治療方針の違いから鑑別が重要と考えられた。

病院別