上顎骨内嚢胞性病変の一例
症例
上顎 90歳代 男性
右側上顎前歯部の膨隆を主訴に来院した。エックス線画像から顎骨内の嚢胞性病変を疑い、FNA採取、通法スメアーとLBC法を施行
右側上顎前歯部の膨隆を主訴に来院した。エックス線画像から顎骨内の嚢胞性病変を疑い、FNA採取、通法スメアーとLBC法を施行
細胞診所見
好中球を背景に嚢胞内容物の角化表層細胞と深層細胞がみられ、細胞異型に乏しいことから、歯原性角化嚢胞(Odontogenic keratocyst)と判定した。今回、LBC法は通法スメアー後の残液で、細胞量に違いはみられたが両者の判定は同じで(図1強拡大像と図2強拡大像)
組織所見
開窓後の組織診で同疾患を確定できた(図3中拡大像と図4強拡大像)。
まとめ / 考察
2017年のWHO組織分類(第4版)では、歯原性腫瘍や嚢胞の大幅改定が行われ、新規悪性にSclerosing odontogenic carcinoma, Odontogenic carcinosarcomaが、混合性腫瘍が真の腫瘍(Ameloblastic fibroma)と過誤腫(Odontoma)に統廃合され、腫瘍として捉えていた嚢胞性病変は嚢胞に落ち着いている(Keratocystic odontogenic tumor, KCOT→Odontogenic keratocyst, OKC; Calcifying cystic odontogenic tumor, CCOT→Calcifying odontogenic cyst)。本症は2005年の腫瘍から再発傾向の高い嚢胞として変更されている。