乳腺に発生した腺様嚢胞癌の一例

豊田厚生病院病理検査室
山田 祐介、深田 英樹、田中 浩一、黒木 雅子、山口 悦子、成田 道彦

症例

乳腺穿刺 60歳代 女性
【臨床経過】
2010年9月に健診を受診し、MMGで異常なし、超音波で左乳腺C領域に腫瘤を指摘され、2010年10月に当院乳腺外科を受診。
その時に、穿刺吸引細胞診が施行され、「悪性疑い」と判定、その後、針生検で確定診断後、Bp+SLNB手術が施行された。

細胞診所見

豊富な血液成分を背景に重積性のある上皮様細胞集塊を多数認めた。
集塊内には球状物質が多数あり、その周りを類円形核の異型細胞が取り囲んでいた。
別視野においても同様の所見が得られ、球状物質が粘液球であることが示唆された。
ギムザ標本で粘液球は異染性を示し、間質性粘液である事が示唆された。

組織所見

腫瘍細胞は導管上皮細胞と基底細胞様の腫瘍性筋上皮細胞からなり、特徴的な篩状構造を呈しており、嚢胞内にはエオジンに淡染する粘液様物質を認めた。
乳腺原発の腺様嚢胞癌は頻度が低いものの、典型的な像を示しており、腺様嚢胞癌と診断した。
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病院別