乳腺の化生癌の1例

前田隆平(CT) 柴田瞳(CT) 小倉昌弘(CT)
山下雅子(MD)  野呂綾(MD) 福留寿生(MD)

症例

乳腺 50歳代 女性
左乳房腫瘤により当院受診。超音波所見ではC領域に5㎝大の内部不均一な腫瘤を認め、穿刺により流出した内容物を塗抹し細胞診を施行した。

細胞診所見

炎症を背景に、ライトグリーンあるいはオレンジG好性の扁平上皮様細胞が集塊状、孤立性に出現。一部にオレンジG好性のオタマジャクシ状細胞や、細胞質内空胞を有する細胞、多核細胞が認められた。オタマジャクシ状細胞には、核腫大と核型不整、細胞相互封入像を認めた。

組織所見

扁平上皮への分化を示す腫瘍細胞が増殖しており小範囲に壊死を伴い細胞診と同様の紡錘形腫瘍細胞や腺癌から扁平上皮癌への移行像が認められた。以上より化生癌(扁平上皮癌)と診断した。免疫染色にてER、 PgR、 HER2 はいずれも陰性であった。

*組織画像の掲載はありません。

まとめ / 考察

本症例では、核異型細胞の出現が少なく、わずかに含まれていた核異型細胞を丁寧にスクリーニングすることや乳腺でも扁平上皮癌が出現する可能性があることを念頭におくことが重要である。

病院別