乳頭癌の移行像を認めた甲状腺未分化癌の一例

川森俊人

症例

甲状腺穿刺 60歳代 女性
2012年頃から前頚部の腫瘤を自覚も放置.2014年5月になり増大傾向,6月になり嚥下時の違和感や呼吸苦が出現したため当科受診.甲状腺腫瘤,リンパ節腫大を認めた.

細胞診所見

腫瘍
好中球や壊死物質を背景に,著明な異型を示す細胞が散見される.
Undifferentiated carcinoma が示唆される
リンパ節
腫瘍部異型細胞は認めず,微細クロマチンや核溝,核内細胞質封入体を示す濾胞上皮細胞集塊を認め,Papillary carcinoma の転移が示唆される

組織所見

内部に壊死を伴う腫瘍を認める.壊死と出血を伴い異型の強い,多形の巨細胞を示す腫瘍細胞が浸潤,増殖しており,その隣に乳頭状に増殖する乳頭癌を認める.一部に両者の移行像を認める.

 

まとめ / 考察

甲状腺未分化癌は分化癌からの移行が多いとされる.本症例の病理像は
それを示唆するものと思われた.

病院別