乳頭癌を併存した未分化癌の一例
症例
甲状腺穿刺 60歳代 女性
右葉全体を占める甲状腺腫瘤の①低エコー領域,②高エコー領域2ヶ所にFNA施行した.
右葉全体を占める甲状腺腫瘤の①低エコー領域,②高エコー領域2ヶ所にFNA施行した.
細胞診所見
①は乳頭状・シート状集塊にすりガラス状核,核溝,核内細胞質封入体を認めた.②も乳頭状集塊を認めたが,重積性が強く核所見を読み取るのは困難であった.総合的に乳頭癌と診断した.Retrospectiveに検討したところ,②は孤立散在性にも異型細胞が出現しており,集塊も①と比較すると異型が目立った.
組織所見
甲状腺上部には多形性著明な異型細胞のびまん性増殖,核分裂像を認め,未分化癌と診断した.下部に結節性病変があり,乳頭状増殖にスリガラス状核,核溝,核内細胞質封入体が見られたことから乳頭癌が併存すると考えられた.乳頭癌は①,未分化癌は②の領域に合致した.
まとめ / 考察
未分化癌は分化癌が併存することも多いとされ,両成分が標本に出現する可能性もある.よって孤立散在性の細胞,集塊の異型度,核分裂像についてよく観察する必要がある.