子宮体部原発扁平上皮癌

久野臨、岩田幸蔵、小川里美、加納考城、小島伊織、堀部良宗

症例

子宮体部後壁の腫瘤 60歳代 女性
卵巣良性腫瘍の術後経過観察中、不正出血を契機に子宮体部後壁の腫瘤を指摘され、変性筋腫を疑われた。精査の一環として子宮頸部および内膜細胞診を行った。

細胞診所見

頸部、内膜ともに異型角化扁平上皮が採取されていた。傍基底細胞様異型細胞は目立たなかったが、角化細胞の異型はLSILよりも腫瘍性を示唆するものであった。

組織所見

多嚢胞状病変で扁平上皮に被覆され、一部に扁平上皮癌を認めた。病変周囲には腺筋症が少量みられた。腺筋症に広範な扁平上皮化生をきたし扁平上皮癌が発生したと考えられた。子宮頸部に病変はなかった。

まとめ / 考察

子宮体部原発扁平上皮癌は極めて稀で、術前に体部原発と推定することは一般に困難とされる。画像所見や頸部・内膜での異型細胞採取量比率から体部原発と推定した過去に報告はみられるが、本例ではいずれの情報からも体部原発と推定することは困難であった。稀な病変を発生母地とする子宮体部原発扁平上皮癌の一例を経験した。

病院別