子宮内膜細胞診に出現した卵巣明細胞癌の一例

田中瑞穂(CT)

症例

子宮体部 50歳代 女性
腹部腫瘤感にて来院。超音波検査で子宮上に巨大腫瘤が認められる。卵巣腫瘍が疑われている。子宮内膜は菲薄で不整を認めない。子宮内膜擦過細胞診が行われた。

細胞診所見

標本には内膜細胞の集塊が多数認められたが、内膜細胞に比較して核が大きく核クロマチンが濃染する異型細胞集塊が少数散在性に認められた。異型細胞集塊を構成する細胞には核の大小不同、核形不整、がみられ腺管状の配列を示しているので腺癌細胞と考えられた。
異型細胞の細胞質は広く泡沫状或いは非常に淡明な細胞が見られ明細胞癌に由来する細胞と考えられた。

組織所見

腫瘍は右卵巣の部位に位置し一部充実性の部分を含むのう胞性病変であった。

腫瘍細胞の細胞質は淡明で球状の硝子体がみられ明細胞癌と診断された。卵管内腔に腫瘍の浸潤が認められた。

【まとめ】

当院で2014年3月から2016年5月までの間に、子宮内膜細胞診標本に他臓器由来の癌細胞が出現した症例は表のように8件ありました。原発巣としては卵巣が多く5件で肺癌、腹膜癌、卵管癌が各1件でした。内膜細胞診の所見の特徴としては正常の内膜細胞集塊が多数認められる中に癌細胞が少数認められる、ということでしたが症例6のみ多数の癌細胞が認められました。

病院別