子宮腫瘍 60歳代 女性
腹部腫瘤を自覚し、他院CTにて骨盤内腫瘤を指摘され、当院婦人科を受診。
子宮、左右付属器全摘術試行。

背景には壊死を認めず、腫瘍細胞を孤立散在性～小集塊状に認めた。細胞および核にやや大小不同を認め、紡錘形～類円形、核溝やねじれなどの核異型を認めた。またクロマチンは増加し、細顆粒状～顆粒状に不均等に分布していた。
平滑筋肉腫が疑われたが、細胞量が少なく、悪性腫瘍の決め手となる異型細胞も極少数であったため、平滑筋腫との鑑別に苦慮した。

内部に出血・壊死を伴う20cm大の結節性病変の中に、核の大小不同、核形不整を伴う紡錘型細胞の増生が見られた。一部、液状変性、のう胞形成と共に、凝固壊死、出血を伴い、核分裂像も10/10HPF程度認められた。組織学的には平滑筋肉腫と診断された。

肉眼所見、年齢、細胞像から平滑筋肉腫を疑ったが、細胞量が少なく、細胞像上、壊死や核分裂像は認められなかった。また、巨大核や多核などの悪性腫瘍の決め手となる細胞が少なく、平滑筋腫との鑑別に苦慮した。
当院の過去の平滑筋肉腫例と平滑筋種例の細胞像を検討したところ、平滑筋肉腫例では大小不同を伴う核腫大、核溝、核のねじれ、クロマチンの不均等な分布などの核異型が全症例で認められた。これらの核異型が平滑筋肉腫を示唆する所見と考えられるが、今後さらなる検討が必要である。