子宮頚部細胞診の一例

○松井 竜三、山田 貴之、佐藤 茂、山下 依子

症例

子宮頸部 30歳代 女性
主訴:不正性器出血

細胞診所見

炎症性細胞を背景に、シート状配列から重積配列を示す腺系の異型細胞集塊を認める。細胞の核は円形~楕円形で、大小不同や配列不正、核の突出も認められ腺癌の所見と考えられる。一方、腺系と扁平上皮系の判断に苦慮する細胞も少数散見される。細胞は、ライトグリーン好染性から淡染性の細胞質と軽度の核異型を伴っており、ASC-US相当の細胞と考えられる。

組織所見

生検、円錐切除、手術材料いずれにおいても異型上皮が管状もしくは乳頭状構造を形成する通常型の頚部腺癌(endocervical adenocarcinoma, usual type)を認め、円錐切除材料では浸潤癌、断端陽性であった。生検、円錐切除では重層扁平上皮の異形成も認められ、CIN 2の所見であった。免疫染色ではCIN 2と腺癌の双方ともにp16, MIIB-1の陽性像が観察され、HPV関連腫瘍であることが示された。

まとめ / 考察

腺癌細胞を背景に、腺系と扁平上皮系の判断に苦慮する細胞を認めた。細胞診断ではASC-USと診断したが、組織診断ではCIN 2と診断された。少数しか出現しない細胞に対しても注意深くスクリーニングする重要性を再認識した。

病院別