子宮頸部 分化型扁平上皮内癌の1例

田中瑞穂、大池里枝、夏目園子(CT)
横井豊治、佐竹立成(MD)
       名古屋掖済会病院

症例

子宮腫瘍 60歳代 女性
前医にて検診の子宮頸部擦過細胞診で異常を指摘され、当院に紹介受診。不正出血はなく超音波検査、MRI検査ともに頸部腫瘤は認められない。

細胞診所見

炎症性背景の中にオレンジG好染性あるいはライトグリーン好染性の細胞質を示す異型細胞が散在性にあるいは小集塊を形成してみとめられます。これらの異型細胞の中には細胞質がOGに好染し、角化傾向の強い細胞がみとめられます。また、紡錘形の細胞も散見されます。
数は多くありませんが 角化が強く、核異型や多形性を示す細胞 、おたまじゃくし様細胞 、
癌真珠様の細胞集塊 、紡錘形細胞などが混在しており、扁平上皮癌が考えられました。

組織所見

(円錐切除術で摘出された子宮頸部から12切片を作製して観察しました)

子宮頸部の表層には広い範囲に異型を示す重層扁平上皮がみられ、腺管内に浸潤する像が認められました。写真に示すように表層をおおう像、腺管内に浸潤する像、重層扁平上皮は全層を占める異型扁平上皮細胞の増生が見られ表面に向かって分化しており、分化型の扁平上皮内癌と考えられました。

まとめ / 考察

分化型の扁平上皮内癌、扁平上皮癌では分化型の扁平上皮癌細胞(過角化細胞、オタマジャクシ細胞、紡錘形細胞、癌真珠など)がみられ、細胞の形態だけでは鑑別ができないといわれている。これらの細胞が他の核異型細胞に比較して多数を占めている場合に扁平上皮癌と細胞診断する。多くない時には扁平上皮内癌や早期浸潤癌を考慮する必要がある。

病院別