心嚢水細胞診陽性を示した食道癌の1例

愛知県がんセンター中央病院 臨床検査部 遺伝子病理検査科1)
愛知県がんセンター遺伝子病理診断部2)
愛知県看護大学3)
奥村 寿崇1)、玉腰 利長1)、木越 紗和子1)、尾関 順子1)、鈴木 緑1)
所 嘉朗1)、北村 淳子1)、細田 和貴1)、佐々木 英一1)、越川 卓3)、谷田部 恭1)

症例

心嚢液 40歳代 男性
[材料]心嚢液
[臨床経過]
嚥下時違和感があり、半年後近医受診し、食道内視鏡生検にて扁平上皮癌と診断された。
1ヶ月後、当院にて食道摘出術施行。
約2年後心嚢液貯留し細胞診が施行された。
[既往歴]40歳代 食道扁平上皮癌。

細胞診所見

リンパ球、マクロファージを背景に結合性を有するN/C比が大で核形不整、軽度クロマチン増量した小型異型細胞の小集塊および孤在性細胞を認める。
MG染色標本には核分裂像を認める異型細胞も見られた。
悪性細胞の所見で、細胞質はレース状で肥厚感はなく核は中心性の細胞が多いものの偏在性の細胞も少数みられ腺癌を思わせる所見と考えられた。
明らかな扁平上皮系異型細胞と判定しえないが、既往歴より扁平上皮癌の転移浸潤も考慮すべき症例と考える。

組織所見

132_03_ex

抗p63抗体にて免疫組織学的染色を実施したところ、N/C比が高い小型異型細胞の核に陽性所見が認められた。
食道扁平上皮癌の心嚢への転移浸潤の所見と判定した。

病院別