悪性リンパ腫の尿管浸潤の一例

宮下 拓也、高橋 恵美子、櫻井 包子、和田 栄里子、佐藤 允則、水野 義己
北村 淳子、横井 豊治
愛知医科大学病院 病院病理部

症例

左分腎尿 70歳代 女性
臨床検査所見
肉眼的血尿

細胞診所見

核腫大し核型不整が強く、核小体は1~数個見られ、クロマチンが粗顆粒状または粗網状の異型細胞が孤立散在性または小集塊状で出現していた。
また、ギムザ染色にて異型細胞の細胞質は好塩基性で、時に小空胞を有する細胞も見られた。

組織所見

組織診断の際に既往に悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、1年前に他院で診断され、R-CHOP療法が行われた)が有ることが判明した。

検体の大部分は挫滅していたが、評価可能な部分では中型~大型リンパ球の増生が見られた。
免疫染色ではCD20,CD79a,BCL2,BCL6(部分的)が陽性で、CD3,CD5,CD10,cyclin D1,cytokeratin (AE1/AE3, CK7, CK20)は陰性であった。MIB-1 labelling indexは高値だった。

以上の所見から悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphomaに矛盾しない)と診断された。

病院別