悪性中皮腫細胞が喀痰中に出現した一例

 田中瑞穂、大池里枝、夏目園子(CT)      氏平伸子、佐竹立成(MD)

症例

喀痰 60歳代 男性
主訴:右胸膜肥厚精査
現病歴:1年前に膿胸の臨床診断で、胸水細胞診・胸膜生検を行ったが悪性所見を認めず、followされていた。半年前の胸部レントゲンでは胸水貯溜を認めなかったが、その1か月後胸水貯溜を認め、徐々にびまん性の胸膜肥厚が進行していったため、胸膜中皮腫を疑い、喀痰細胞診及び胸膜生検を実施した。1ヶ月後TBLB及び気管支擦過細胞診を実施した。

細胞診所見

異型細胞の小集塊が多数認められた。重積が強い集塊、平面的に配列する集塊が認められた。細胞の核は類円形で、中心に位置し、核縁の不整はみられず、核クロマチンは軽度に濃染し、核小体が肥大していた。細胞質がライトグリーンに淡染する集塊と細胞質が広く、不透明な細胞が認められた。

組織所見

胸膜生検組織には線維性結合組織内に、肺生検組織では肺内に、類円形核を持つ腫瘍細胞が胞巣状、乳頭状に増殖し、一部は管腔様構造を認めた。免疫染色ではcalretinin, D2 40, WT 1(中皮腫マーカー)に陽性、CEA, TTF1, Napsin A(腺癌マーカー)に陰性を示し、悪性中皮腫と診断した。

病院別