子宮頚部、内膜

愛知県がんセンター中央病院 臨床検査部 遺伝子病理検査科1)
愛知県がんセンター遺伝子病理診断部2)
愛知県看護大学3)
細田 和貴 2) 奥村 寿崇1) 玉腰 利長1) 尾関 順子1) 所 嘉朗1)
立松 明子2) 北村 淳子2) 佐々木 英一2)  越川 卓3)  谷田部 恭2)

症例

子宮頸部、内膜 70歳代 女性
[臨床経過]
腹痛にて近医受診。癌性腹膜炎が疑われ、当院婦人科紹介受診。
画像検査にて腹水貯留、腹壁、腸間膜の不整な肥厚を指摘された。
[既往歴]
特記事項なし
[職業]
専業主婦

細胞診所見

頚部:萎縮所見を背景に、類円形異型細胞の疎な集簇を少数認めた。
核は円形で中心性、明瞭な核小体を有していた。胞体はライトグリーン好性でやや厚ぼったく辺縁はやや不明瞭。
細胞間結合が弱く裂隙がみられた。
内膜:萎縮所見を背景に頚部と同じ異型細胞の集簇を認めた。
多核細胞やオレンジG好性の胞体を有する小型細胞も少数認められた。

組織所見

子宮、両側付属器、大網、腹膜切除術が施行。
卵巣に病変はなく、腹膜、大網にはび漫性に異型細胞の乳頭状、充実性増殖を認めた。

133_01_ex

まとめ / 考察

免疫染色で中皮マーカー(WT1,Calretinin,D2-40,Mesothelin,CK5) がすべて陽性であり、腹膜原発の悪性中皮腫と診断した。
子宮に播種性の病変はなく、卵管を介した体腔液の逆流性漏出によるものと考えられた。

病院別