扁平上皮細胞や角化物を多数認めた多形腺腫の一例

愛知医科大学病院  病院病理部
櫻井包子 和田栄里子 佐藤允則 佐野順司 水野義己 小林瑞希 北村淳子 高橋恵美子 横井豊治

症例

耳下腺穿刺 30歳代 女性
1ヶ月前より右耳下部の腫瘤に気付き、当院受診。
右耳下腺穿刺吸引細胞診施行

細胞診所見

角化した扁平上皮細胞、角化物を多数認めた。
また泡沫細胞、好中球も散見された。
その中に、筋上皮細胞の集塊、メタクロマジーを示す粘液様基質、淡明細胞、形質細胞様細胞を認めた。
多形腺腫をもっとも考えるが、粘表皮癌の可能性も完全に否定できない細胞像であった。

組織所見

粘液腫状間質を背景に、充実性、索状、星芒状増生を示す筋上皮成分及び腺管形成、扁平上皮化生を示す上皮成分の増生を認めた。
多形腺腫の所見であった。
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まとめ / 考察

【まとめ】
多形腺腫の細胞像は多彩であり、時に扁平上皮化生を伴うことがある。
典型例では比較的容易であるが、腫瘍の一部が採取された場合には他の腫瘍との鑑別が必要である。

病院別