浸潤性膵管癌との鑑別が困難であった膵神経内分泌癌の一例

金山和樹1), 今井裕2), 米田操3), 内田克典2), 小塚祐司2), 白石泰三1)
1) 三重大学大学院医学系研究科腫瘍病理学
2) 三重大学医学部附属病院病理部
3) 鈴鹿医療科学大学保健衛生学部

症例

膵神経内分泌癌 70歳代 男性
70歳代、男性。
腹部痛を主訴に他院を受診し、上部消化管内視鏡とCTにて膵腫瘤および多発性肝腫瘤を指摘された。
当院紹介となり確定診断目的のためEUS-FNAが施行された。

細胞診所見

N/C比は高く、一部裸核状を示す異型細胞が集塊または散在性に認められた。
細胞質は淡明で、クロマチンは細顆粒状を示し、核形不整や核小体を有していた。
腺腔様構造も認められ第一に腺癌を推定したが、一部に木目込み細工様配列も認められ神経内分泌癌との鑑別が困難であった。

組織所見

セルブロックでは類円形腫大核と微細顆粒状クロマチン有する腫瘍細胞が充実状、ロゼット配列、索状構造を示して増殖していた。
免疫染色はCD56陽性、chromograninA陽性、synaptophysin陽性、chymotoripshin陰性、MIB-1 index 20%以上を示し神経内分泌癌(以下NEC)と診断された。

まとめ / 考察

NECは腺癌類似の細胞像を示す場合があるため、腺癌との鑑別には神経内分泌特有の木目込み細工様配列の所見が重要と考えられた。

病院別