甲状腺硝子化索状腫瘍の1例

○藤原真紀, 川島佳晃, 伊藤里美, 須藤健助, 平澤 浩, 浦野 誠

症例

甲状腺 70歳代 女性
甲状腺穿刺吸引材料。

細胞診所見

楕円形~短紡錘形を呈する上皮細胞の重積性集塊を認めた。細胞質は広く細胞境界は不明瞭で、細胞間に線維状の間質構造がみられた。核形は不整で核溝と多数の核内封入体を伴っていた。乳頭癌の可能性が否定できないが定型像とは異なっており、良悪性の鑑別困難な異型細胞と判定した。

組織所見

径7mm大の境界明瞭な腫瘍で、楕円形~紡錘形腫瘍細胞が好酸性硝子化物で区画され索状胞巣状に増殖していた。多数の核内封入体と細胞質内のyellow bodyを認めた。MIB-1染色では腫瘍細胞膜が線状に陽性を呈した。

まとめ / 考察

硝子化索状腫瘍は核内封入体の存在から乳頭癌に、紡錘形形態と硝子化物質がアミロイド様にみえることから髄様癌と誤認されやすい。しかし核間距離が極めて不均等で間質成分を伴い、シート状、乳頭状配列がみられないことや、ごま塩状核クロマチンを欠くこと点などが鑑別に有用と思われる。

病院別