粘液癌様成分を伴う浸潤性乳管癌の1例

愛知医科大学病院 病院病理部
玉置和仁 和田栄里子 櫻井包子 佐藤允則 佐野順司 水野義己 小林瑞希 北村淳子 高橋恵美子 横井豊治

症例

乳腺穿刺 60歳代 女性
既往歴として7年前に左乳癌で乳房温存術施行。
数ヶ月前より疼痛を伴う左乳腺しこりに気付き当院を受診。
臨床的には再発及び膿瘍が疑われため、1.5cm程の腫瘤に対し穿刺吸引細胞診を施行した。

細胞診所見

粘液性の背景に比較的モノトーナスな異型乳管上皮細胞が多く出現している。
筋上皮細胞との二相性は見られず、双極裸核も認めない。一部に血管結合織を疑う成分も観察される。
背景に粘液を認めるが、いわゆる浮雲状の腫瘍細胞所見は見られず、粘液癌とするには困難であった。
以上の所見を考慮し、間質に粘液様成分を伴う乳管癌として報告した。

組織所見

左乳腺切除材料。異型細胞が胞巣状に増生する像と、一部では粘液内に腫瘍胞巣が浮遊する像が見られる。
粘液癌成分を伴う浸潤性乳管癌の所見である。
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既往の左乳癌摘出標本に類似した組織像を呈する部位があり、その再発として矛盾しない。

病院別