結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の1例

○南谷健吾 川村辰也 西尾知子

症例

リンパ節 40歳代 男性
左腋窩に無痛性の10㎝程度の腫脹に気付いた。上肢を挙上すると腫瘤を触れ、下すと触知できなくなった。腫瘍を心配して当院受診。
検体はリンパ節スタンプ

細胞診所見

小型から中型のリンパ球を背景に、大型の細胞を孤立散在性に認める。大型の腫瘍細胞は
多彩で細胞質の豊富なものや狭いものも見られる。核は単核で異型の強いものも見られ核小体は大型で目立つ。

組織所見

小型リンパ球が一部不明瞭な結節を形成する中に、核小体の目立つ大型細胞が散在する。
大型細胞は多形性を伴うが、二核細胞はみられない。免疫染色では、CD20(+)小型B細胞が結節を形成しており、大型細胞はCD20(+),CD30(-),CD15(-)を示す。結節内にはCD21(+)FDC meshwarkが地図状に拡大している。大型細胞周囲には、CD3(+),PD-1(+)小型T細胞のロゼット構造がみられる。

まとめ / 考察

核小体の目立つ大型細胞が出現するリンパ腫の鑑別では、第一にホジキンリンパ腫を考える傾向がある。しかし、ALCLや一部のT-cell lymphoma、DLBCL亜型の可能性も否定できす、大型細胞の形態的特徴差での確定診断は難しい。本症例のように大型細胞がCD20(+),CD30(-),CD15(-)となるとNLPHLとTHRLBCLの鑑別に難渋する。細胞診では背景細胞にも注目し、組織学的に結節形成の有無、小型リンパ球の分布、濾胞樹状細胞のmeshworkの存在の証明など、免疫染色を駆使し、標本全体をよく観察することが必要である。

病院別