胸水中に認めた線維形成性小円形細胞腫瘍の一例

大島健吾1)、近藤吉起1)、小林雅子1)、細田和貴

症例

胸水 40歳代 男性
他院で腹腔内腫瘤、肝転移、胸水、腹水を指摘後、当院紹介。腹腔内腫瘤の生検施行後、化学療法を開始。腹腔内腫瘍に対しては針生検を、胸水に対しては細胞診とセルブロック作製を施行。

細胞診所見

小型類円形核の上皮性異型細胞を思わせる異型細胞が球状集塊をなして均一に増生。核クロマチンは繊細で核溝などの核形不整がみられた。

組織所見

腹腔内腫瘤の生検では豊富な膠原線維性間質とともにN/C比大の小型円形異型細胞の充実性集塊を認めた。免疫染色でCK、Desminが陽性、WT-1、S100、Synaptophysin、Chromogranin A、INSM1が陰性、Ki-67陽性率5%を示した。FISHでEWSR1遺伝子再構成を認めた。線維形成性小円形細胞腫瘍と診断した。
胸水セルブロックでは小型円形異型細胞の球状集塊を認めた。免疫染色でTTF-1、SOX10、Calretinin、HEG-1、WT-1、Synaptophysin、Chromogranin A、INSM1が陰性、Ki-67陽性率5%を示した。また、FISHでEWSR1遺伝子再構成を認めた。以上より線維形成性小円形細胞腫瘍の転移とした。

まとめ / 考察

本腫瘍は稀な軟部腫瘍で、その細胞像は上皮性腫瘍様の形態を示すのが特徴である。特徴的な臨床所見を呈するが、確定診断には分子検査が必要となる。

病院別