腹腔リンパ節多発腫脹を来した二重癌の一例

○宮崎龍彦, 水野加織, 岩田明子, 川島啓佑,波多野裕一郎, 中川篤, 酒々井夏子

症例

リンパ節 30歳代 男性
３０歳代、男性。　左下腹部の違和感を認め、近医受診。腹部CTで腹腔内リンパ節多発腫脹を指摘され、当院紹介受診。HCG　14400, AFP 46.4, LDH 963と上昇。EUS施行。傍大動脈リンパ節多発腫脹。19G針でFNA細胞診、組織診。同時に胃粘膜もIIc様病変から２材採取。全身検索で左精巣腫瘍を認め、左高位精巣摘除術。

細胞診所見

壊死性背景に、比較的明るい細胞質を有し、大型の核小体を伴う大型異型細胞が小集塊状に出現。一部に多核細胞を認めた。

組織所見

リンパ節では出血・壊死を背景にN/C比が高く、核の大小不同や核型不整、核小体の明瞭化を伴う大型異型細胞の胞巣を認める。胃粘膜ではびらんを背景に、核の偏在や粘液空胞を示す異型細胞の集簇巣が認められた。左精巣には6mm大の病変が認められ、広範囲に出血・壊死層を伴い、大型異型細胞が胞巣状もしくは腺腔様構造を示して浸潤性に増殖。CD30(+), NANOG(-), AFP(-), PLAP(-), hCG(-)。

まとめ / 考察

精巣embryonal carcinomaと胃のsignet ring cell carcinomaの二重癌症例で、リンパ節は精巣腫瘍の転移であることが示唆された。リンパ節のFNAにおいて細胞診と組織診を同時に施行する有用性が示唆された。

病院別