自然尿

名鉄病院

症例

自然尿 60歳代 男性
痛風で通院中、血尿と腰痛を主訴に当院泌尿器科に紹介受診した。
自然尿細胞診が行われた。
PSAが28.30と高値を示し、経直腸的前立腺生検で前立腺癌と診断された。
MRIで腫瘍の膀胱内への浸潤が認められ、経尿道的腫瘍生検が行われ、前立腺腺癌の所見が認められた。

細胞診所見

標本には孤在細胞と細胞集塊が多く認められた。
細胞の核は小さく、長径は約7.6μm、核クロマチンは細顆粒状で濃染している。
核小体の肥大した細胞、円柱状細胞、管状配列などが認められたが、
それらの細胞は少数であった。
免疫染色で、細胞診標本に認められた細胞は、殆どすべてPSA陽性であった。

組織所見

経直腸的、経尿道的前立腺生検は同様な所見を示した。
癌細胞は充実性、管状の形態を示し、PSAの免疫染色で強陽性を示した。
中分化腺癌と診断された。
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まとめ / 考察

自然尿細胞診標本中に核の長径9μm以下の小型細胞で核クロマチンが濃染する上皮性の細胞を観察した場合前立腺癌細胞の可能性を考えることが必要である。
核小体の肥大、円柱状細胞、腺管状配列の有無などの所見があれば前立腺癌細胞の可能性が高いので、PSA値の検索、前立腺生検を行う。

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