舌擦過細胞診の1例

山田知里 
田中瑞穂 大池里枝 佐藤朋子 佐竹立成

症例

舌 60歳代 女性
2か月ほど前から口内炎が治りにくいと訴えあり、軟膏処方されるも改善なく当院に紹介受診された。白斑を伴うびらんあり、表在性で周囲硬結なし。舌擦過細胞診が行われた。

細胞診所見

核の腫大、核濃縮を示し、細胞質がオレンジGにやや強く染色される扁平上皮細胞が少数出現している。また、比較的小型でクロマチンが軽度に増量した類円形核を持つ扁平上皮細胞が小集塊を形成して少数認められる。背景にはカンジダが非常に多く出現しており、壊死細胞は認めず、炎症性細胞がごく少数出現している。

組織所見

角化を伴い小充実性胞巣を形成して、上皮下に浸潤する中分化扁平上皮癌で、表層には軽度の核異型を示す扁平上皮細胞が認められた。

まとめ / 考察

異型の強い癌細胞が表面へ露出していない扁平上皮癌の擦過細胞診は診断困難な場合が多い。標本内に異型扁平上皮細胞が認められた場合には、異型が軽度でも生検が必要と考えられる。

病院別