術中迅速細胞診が有用であった、硬膜Erdheim-Chester病の一例

池田 美奈1)、山田 勢至2)、小林 加奈1)、竹内 沙弥花1)、米倉 由香1)、藤原 真紀1)、
須藤 健助1)、今枝 義博1)、磯村 まどか2)、櫻井 映子2)、稲田 健一2)、塚本 徹哉2)、
安倍 雅人3)

症例

硬膜病変 捺印・圧挫 60歳代 女性
尿管狭窄および後腹膜線維症の既往あり。構音障害・体幹失調が出現し、頭部MRIで小脳テントから広がる硬膜肥厚性病変を認めた。

細胞診所見

多彩な炎症細胞を背景に泡沫細胞を主体とした多数の組織球が認められた。核が花環状に配列し、その内外で細胞質の染色性が異なるTouton型巨細胞も散見された。

組織所見

Touton型巨細胞を含む多数の泡沫細胞が密に浸潤。免疫組織化学的検索ではCD68、CD163、BRAF(VE-1)陽性、CD1a、S-100蛋白陰性。エンペリポレーシスの像なし。以上の所見と既往から、組織球増殖性疾患の一つであるErdheim-Chester病と考えられた。

まとめ / 考察

組織球増殖性疾患であるErdheim-Chester病、ランゲルハンス細胞組織球症、Rosai-Dorfman病はいずれも頭蓋内に病変を形成することがある。術中迅速細胞診は凍結組織に比べ細胞形態が良好に保持されるため、これらの鑑別の一助となり得る。

病院別