顎骨病変

落合隆永1) (DDS)、中尾寿奈1) (DDS)、江原道子1) (DDS)、松原 誠2) (DDS)、石橋浩晃2) (DDS)、村松泰徳2) (DDS)、杉江茂幸3)(MD)、住友伸一郎2) (DDS)、永山元彦1) (DDS)

症例

上顎骨 20歳代 男性
上顎骨・穿刺吸引
臨床情報 :上顎右側臼歯部に疼痛を伴い、急速に増大する腫脹を主訴に本院歯科口腔外科を受診した。

細胞診所見

壊死と出血を背景に密度の高い立体的な細胞集塊が散在し、細胞集塊辺縁は高円柱状細胞が柵状に配列し、中心部は多角形細胞を認めた。周囲の細胞は角化細胞を含む扁平上皮様細胞であった。これらの細胞は、核小体が目立ち粗なクロマチンを有する核を有し、大小不同、核優位で核分裂像も散見される異型細胞を認めた。

組織所見

叢状ないし濾胞状の大小不規則な形態を示す胞巣の浸潤性増殖を認めた。胞巣周囲の細胞は高円柱状ないし類円形細胞で、中心部は扁平上皮化生を呈し角質球も観察された。腫瘍細胞は、大小不同で粗なクロマチンと明瞭な核小体をみる核優位な細胞で分裂像も多数みられた。

まとめ / 考察

まれな歯原性癌腫であるエナメル上皮癌の1例を経験した。顎骨病変は多様な形態を呈するため、診断に苦慮することが少なくない。顎骨原発病変は、多彩な組織構造や細胞形態を呈すことを念頭に特徴的な所見を捉えることが重要であると考えられた。

病院別