髄腋中に腫瘍細胞を認めた多発性骨髄腫の一例

名古屋第二赤十字病院

症例

髄液 60歳代 女性
65歳、女性。腰痛を主訴として当院整形外科を受診。
画像所見などより多発性骨髄腫が疑われ、精査の結果、多発性骨髄腫と診断された。
VAD療法にて完解となるが、発症から19ヶ月後、腹腔内腫瘤、腹部リンパ節腫大、全身の多発皮下結節が認められた。
22ヶ月後、意識レベルが低下したため、髄腋細胞診を行ったところ腫瘍細胞を認めた。

細胞診所見

【初回検査所見】
血清総タンパク:11.16 g/dl  アルブミン:2.83 g/dl  A/G=0.34。
血清免疫 グロブリンIgG:475mg/dl IgA:7361mg/dl IgM:13 mg/dl
免疫電気泳動により血清中にM蛋白を認め、濃縮尿からκ型 Bence-Jones蛋白が検出された。
骨髄像では約90%が異型形質細胞
【細胞所見】
きれいな背景に円形~類円形の均一な異型細胞が孤立散在性に認められた。
これらの細胞には核の偏在性がみられ、核クロマチンは粗大顆粒状を呈している。
N/C比は高く、大型核小体が認められ、2核細胞も散見された。
ギムザ染色では核の一側に核周明庭部がみられ、細胞質は好塩基性に染まっている。

まとめ / 考察

細胞所見と臨床経過より、多発性骨髄腫の髄液への浸潤と診断された。

病院別