Brenner 腫瘍の腫瘍捺印細胞像について

名古屋第二赤十字病院 病理診断科
瀬古周子、長田裕之、水嶋祥栄、新田憲司、岩田英紘、前田永子、都築豊徳

症例

卵巣腫瘍 60歳代 女性
未経妊。
他院にて画像上14cm大の卵巣腫瘍を指摘され当院に紹介受診。
卵巣摘出術が施行された。
【はじめに】
Brenner 腫瘍は、比較的稀な腫瘍で、卵巣上皮性腫瘍の良性群に属している。
今回、我々は、Brenner腫瘍の捺印細胞像を中心に報告する。

細胞診所見

組織球、リンパ球を背景に、比較的重積性の強い腫瘍細胞集塊が出現する。
細胞はN/C大の小型細胞から、円柱状~多稜形細胞質を有するものまで様々であった。
核は楕円形で中心性~偏在しており小型核小体を有し、コーヒー豆状の切れ込みを有していた。
背景には間質細胞集塊も出現していた。

組織所見

緻密な卵巣間質成分を伴って、異型の乏しい尿路上皮からなる大小の腫瘍胞巣が島嶼状に存在するのを見る。
腫瘍胞巣内には大小の腺腔が形成され、一部は拡張して嚢胞状を呈する。間質には硝子化や石灰化が多く目立つ。
Brenner tumorに相当する組織像と考えられる。

image001

病院別