CISおよび腺癌を併存した子宮膣部小細胞癌の一例

水野里美,水野義己,佐藤允則,櫻井包子,和田栄里子,宮下拓也,藤井佳穂,坪井智子,佐藤啓,高橋恵美子,都築豊徳

症例

子宮膣部 30歳代 女性
妊娠32週にSevere dysplasia or moreを指摘され,分娩2ヶ月後に精査目的で子宮膣部・頸管内スメアを施行.

細胞診所見

CIS集塊および異型腺細胞集塊を認めた.背景には多数の裸核細胞が認められ,リンパ球あるいはCISの孤在性出現かと考えたが由来は不明であった.

組織所見

スメア2か月後の子宮頸部円錐切除検体では,隆起性病変にsalt-and-pepperクロマチンを伴うN/C比の高い腫瘍細胞のシート状増生を認めた.これらの腫瘍細胞はCD56 (+)synaptophysin (+)であり,小細胞癌と診断した.他部位にはadenocarcinoma およびCISも散見された.

 【まとめ】スメアを再鏡検したところ裸核細胞は小細胞癌の特徴を呈しており,小細胞癌由来であると考えられた.裸核細胞が小細胞癌由来である可能性を指摘できていれば,もっと早期に対応・治療できた痛恨の症例であった.小細胞癌は扁平上皮癌や腺癌をしばしば併存するため,扁平上皮癌や腺癌に小型裸核細胞を認める場合には小細胞癌も念頭に置く必要がある.

病院別