会員のみなさまへ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　朝日大学歯学部　永山元彦

世界を震撼させた新型コロナウイルス感染（COVID-19）拡大に対する緊急事態宣言は解除されましたが、まだまだ余談を許さない中で会員の皆様におかれましてはご活躍のことと存じます。さて、表記の例会はCOVID-19の拡大防止と安全のためから、6月18日（木）にオンラインによるWeb開催となりました。いつもと勝手が異なる学会形式と不安に感じられるかも知れませんが、Albert Einsteinが残した名言” In the middle of difficulty lies opportunity.”の如く、「ピンチをチャンスに活かす！」一つの良い機会とも捉えることができると思っております。
今回のテーマは「口腔領域」に絞って企画させて頂きました。昨今注目を浴びてきた口腔がんをはじめ、その境界病変の上皮性異形成症に相当する腫瘍性病変の細胞像では、2015年のガイドラインが出ており、深層の異型細胞に加えて表層の角化細胞の特徴を捉える重要性を唱えていますが、判定に困難な場合も少なくありません。一方、口腔領域は歯原性組織由来の腫瘍や嚢胞、さらには唾液腺腫瘍にも遭遇するなど病変も多彩なため、口腔内写真を含む臨床所見が判定や診断に大きなヒントとなることもあります。
今回は普段から口腔領域の細胞診で経験を積んでいる演者を通じて、「痒いところに手が届く」を目標に進めていきたいと考え、症例検討では、２題を江原道子先生（朝日大学）、１題を落合隆永先生（朝日大学）で提示して頂く予定です（事前にGoogleフォームによる回答を受け付けます）。また、特別講演では、「口腔粘膜病変の肉眼所見からみた細胞像と組織像」と題して、矢田直美先生（九州歯科大学）に多彩な口腔粘膜病変の臨床像と細胞像や組織像との関係から報告書記載までを講演して頂く予定です。
今回の「口腔シリーズ」が皆様の口腔細胞診アプローチの一助となるよう、努めてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　
　＊クレジットにつきましては、日本臨床細胞学会と調整中です。

今回は例会長よりお願いした症例となります。