顎下腺に発生した形質細胞腫の一例
症例
顎下腺 80歳代 女性
顎下腺腫脹を自覚し、精査治療目的に穿刺吸引細胞診および、顎下腺摘出術が施行された。
顎下腺腫脹を自覚し、精査治療目的に穿刺吸引細胞診および、顎下腺摘出術が施行された。
細胞診所見
核形不整を示す異型細胞を認めた。異型細胞には核内封入体が散見された。単調な増生を示し悪性腫瘍を疑う像と考えた。組織型の推定に苦慮したが、一部に結合性を認める点から癌を疑った。
組織所見
顎下腺内に、22×14㎜の灰白調の腫瘤が認められた。組織学的には形質細胞への分化を示す異型細胞がび漫性に増殖していた。異型細胞の核内には封入体(Dutcher小体)が観察された。免疫染色では、異型細胞はCD138部分陽性、CD79a陰性ながら、κ陽性細胞が優勢を示し、形質細胞腫と診断された。
まとめ / 考察
顎下腺に発生した、まれな骨外性形質細胞腫の一例を経験した。本症例は核所見や、細胞の出現様式から形質細胞腫瘍を鑑別にあげることは困難であった。形質細胞腫は幅広い細胞像を示し、癌と鑑別を要する症例も存在する。常に念頭において鏡検することが重要であると考える。