腹腔転移を示した小葉癌の一例
症例
腹水 60歳代 女性
細胞診所見
マクロファージや反応性中皮細胞とともに、N/C比がやや高く、核小体の目立つ異型細胞を多数認めた。
結合性が弱いが、小集塊を形成している像も見られ、マクロファージ、反応性中皮細胞と腺癌の鑑別を要する所見であった。
過去に小葉癌の既往があることから、小葉癌の転移浸潤が疑われるが、核異型に乏しいので確定にはいたらず判定は腺癌の疑いとして報告された。
結合性が弱いが、小集塊を形成している像も見られ、マクロファージ、反応性中皮細胞と腺癌の鑑別を要する所見であった。
過去に小葉癌の既往があることから、小葉癌の転移浸潤が疑われるが、核異型に乏しいので確定にはいたらず判定は腺癌の疑いとして報告された。
組織所見
小葉癌は、小型・孤在化傾向を示すために細胞診断に苦慮することがある。
本症例も例外ではなく腫瘍細胞の確定が困難であったため、免疫染色(ER)を行って腫瘍の存在を明らかにしてみたところ、腹水に出現している細胞の90%以上はエストロゲン陽性であり腫瘍細胞と考えられた。
臨床上、胸水・腹水が出現し、腫瘍細胞の浸潤が疑われ、形態学的に確定診断が困難な場合、免疫染色がとても有用である。
本症例も例外ではなく腫瘍細胞の確定が困難であったため、免疫染色(ER)を行って腫瘍の存在を明らかにしてみたところ、腹水に出現している細胞の90%以上はエストロゲン陽性であり腫瘍細胞と考えられた。
臨床上、胸水・腹水が出現し、腫瘍細胞の浸潤が疑われ、形態学的に確定診断が困難な場合、免疫染色がとても有用である。

まとめ / 考察
【臨床経過】
S.54年、膀胱癌で膀胱部分切除。H.17年6月、右乳頭陥没を自覚し近医を受診、当院を紹介された。
精査の結果、両側乳房に腫瘤を認め、乳癌と診断され、両側乳房手術が施行された。
病理組織型は左:充実腺管癌、右:小葉癌であった。
その後、化学療法6ヶ月、放射線治療を胸壁・鎖上に25回照射、ホルモン療法を5年間行ったが、H.22年3月からCEA・CA15-3が上昇、PETにて肋軟骨にhot spotを認める。
H23年1月、右下腹部痛を自覚し当院紹介受診、CT上で腹水貯留とCS上で他臓器癌の大腸浸潤を認め、腹水細胞診が施行された。
S.54年、膀胱癌で膀胱部分切除。H.17年6月、右乳頭陥没を自覚し近医を受診、当院を紹介された。
精査の結果、両側乳房に腫瘤を認め、乳癌と診断され、両側乳房手術が施行された。
病理組織型は左:充実腺管癌、右:小葉癌であった。
その後、化学療法6ヶ月、放射線治療を胸壁・鎖上に25回照射、ホルモン療法を5年間行ったが、H.22年3月からCEA・CA15-3が上昇、PETにて肋軟骨にhot spotを認める。
H23年1月、右下腹部痛を自覚し当院紹介受診、CT上で腹水貯留とCS上で他臓器癌の大腸浸潤を認め、腹水細胞診が施行された。