腺房細胞癌と鑑別が困難であった耳下腺粘表皮癌の一例

愛知医科大学病院 病院病理部
水野義己 櫻井包子 酒井千早 佐野順司
佐藤允則 高橋恵美子 原 一夫

症例

耳下腺穿刺 30歳代 女性
3年程前より右耳下腺の腫脹に気付くも放置。近医を受診し腫瘍を指摘され、当院耳鼻咽頭科を受診。
MRI、CT施行にて右耳下腺に28x27x20mmの腫瘍を指摘され、穿刺細胞診が施行された。

細胞診所見

粘液様物質を背景に、腫瘍細胞は多彩で、裸核細胞や比較的豊富な泡沫状細胞質を持つ細胞を弧在性あるいは平坦的な集塊で認めた。
集塊内には細胞質が比較的狭い細胞や細胞質内に粘液を含む細胞が混在していた。
円形核小体を1個有する多稜形細胞の細胞集塊も見られた。

組織所見

摘出された右耳下腺腫瘍は、割面では境界がやや不明瞭な黄白色~乳白色結節性病変で、小嚢胞部分がみられた。
粘液産生細胞、扁平上皮細胞、および中間細胞が互いに混在して、充実性、腺管構造を伴う嚢胞構造形成性に浸潤増生する像を認めた。
脈管浸襲および神経浸潤は見られなかった。Mucoepidermoid carcinoma, intermediate gradeであった。

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病院別