急速に気道狭窄をきたした頚部腫瘤の1例

公立陶生病院

症例

頸部腫瘤穿刺 80歳代 男性
今回、診断に苦慮した頚部腫瘤の症例を提示する。
80歳、男性。
頚部腫脹で嚥下困難となり、来院。
CTにて左前頚部に約3cm径の境界不明な充実性腫瘤を認め、穿刺吸引細胞診を施行。

細胞診所見

やや大型でほぼ均一な類円形細胞が孤立散在性にみられた。
細胞質は豊富で、偏在する類円形核には細顆粒状のクロマチンと小型の核小体を1~数個認め、核周明庭も観察された。
核の軽度の大小不同や二核の細胞もみられた。
ギムザ染色では胞体内に泡沫状の空胞を認めた。(骨髄腫を示唆と報告。)

組織所見

繊維性結合織が主体で、相互の接着性がほとんどない類円形細胞が浸潤し、酵素抗体法でケラチン陽性を示した。
以上の所見から低分化な癌と診断した。
原発巣は特定困難であった。

まとめ / 考察

細胞診の再検鏡では、僅かに上皮様の細胞のつながりが観察され、相互封入像も観察された。
また、車軸様核はみられず、低分化な癌と再考された。

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