細胞診断が困難であった悪性黒色腫の一例
症例
頸部リンパ節 70歳代 女性
細胞診断が困難であった悪性黒色腫の一例
細胞診断が困難であった悪性黒色腫の一例
細胞診所見
頸部リンパ節穿刺検体では、腫瘍細胞が孤立散在性から大型の細胞集塊を形成して出現していた。集塊は上皮様接着を認め、辺縁部は非常に結合性が弱く、孤立散在的な出現所見を認めた。個々の腫瘍細胞はN/C比は非常に高く、クロマチンは細顆粒状で大型の核小体を有していた。悪性を示唆する所見と考えたが、上皮系、非上皮系腫瘍との鑑別に苦慮した。集塊形成を示唆する所見が認められたことから上皮系腫瘍と考え、未分化癌と診断した。Retrospectiveに検討した結果、背景にごく少量のメラニン顆粒が存在し、悪性黒色腫を考える所見であった。
組織所見
下顎腫瘍及び頸部リンパ節転移巣では、いずれにも明瞭な核小体と類円形核を持つ大型で異型の強い腫瘍細胞が充実性に増殖しており、多数の核分裂像を認めた。当初未分化癌を考えたが、免疫染色では、上皮性マーカーである CAM5.2・AE1/AE3陰性で、悪性黒色腫のマーカーとなる HMB45・S100 が陽性となった。精査すると、一部の腫瘍細胞はメラニン顆粒と考えられる褐色の顆粒を有していた。また下顎の検体において、わずかに残存する重層扁平上皮の基底層領域には、異型メラノサイトを散在性に認めた。
以上より、下顎原発の悪性黒色腫、悪性黒色腫の頸部リンパ節転移と診断した。
以上より、下顎原発の悪性黒色腫、悪性黒色腫の頸部リンパ節転移と診断した。