甲状腺 60歳代 女性
左葉の微細石灰化を伴う充実性腫瘤についてFNA施行．

紡錘形の腫瘍細胞を密度の高い合胞状集塊や孤立散在性に認めた．クロマチンは顆粒状であり，少数の細胞に細胞質内好酸性顆粒が見られた．また背景にコロイド様の無構造物質を多数認めた．

紡錘形ないし好酸性腫瘍細胞の索状増生を主に認め、巨細胞様の腫瘍細胞も少数見られた．クロマチンはsalt-and-pepperパターンを呈し，間質にアミロイドの沈着を認めた．免疫組織化学的に腫瘍細胞はcalcitonin (+)，chromogranin (+)，synaptophysin (+)，thyroglobulin (-)であり，髄様癌と診断した．

髄様癌は稀な疾患であり，かつ細胞像が多彩なため推定が難しいことがある．本症例でも組織型推定に苦慮したが，salt-and-pepperパターンのクロマチンより髄様癌疑いとし精査を臨床に求めた．結果，血中カルシトニン値が測定され髄様癌であることが確定的となり，外科的切除の運びとなった．