胃型粘液性癌の一例

水嶋祥栄、瀬古周子、長田裕之、新田憲司、岩田英紘:(CT)
橋本光義、前田栄子:(MD)

症例

子宮頚部 40歳代 女性
半年前より水様性、卵白様の帯下が極端に増加、一ヶ月前より腹部鈍痛と不正出血持続。MRI検査にて子宮頚部に嚢胞性病変の集簇が見られた。

細胞診所見

黄金色の豊富な細胞質内粘液を有する細胞集塊を認めた。集塊は平面的、重積性著明など多彩で、一部に好中球の取込み像が見られた。核クロマチンの増量は見られたが、核小体は小~中型で核形不整の所見は乏しかった。細胞判定はAGC、頚部腺癌の可能性ありと報告した。

組織所見

細胞質内粘液豊富で細胞境界明瞭な円柱上皮が、管状、乳頭状構造を形成し浸潤性に増殖していた。異型の程度は様々で、高分化な異型細胞から成る腺管も認められた。免疫染色はMUC6(+)、Pax8(+)、p16(-)。以上より、Mucinous carcinoma, gastric type と診断された。

まとめ / 考察

胃型粘液性癌の細胞所見の特徴は、黄金色の豊富な粘液と、癌としての異型性と定義されている。しかし、核異型や構造異型が乏しい場合があり、細胞診で正確に診断することが困難なことがある。

病院別