胸腔洗浄液細胞診

名古屋掖済会病院 病理部 大池里枝

症例

胸腔洗浄液 60歳代 男性
<臨床経過>
主訴:
胸部痛、軽い咳
現病歴:
上記主訴にて当院受診、受診時の胸部レントゲン写真にて左上肺野に結節影。
気管支鏡にて精査後、左上葉切除術施行。

細胞診所見

標本には多数の大型細胞が認められた。
大型細胞は主として弧在性に認められる。
大型細胞の核の長径は約20μm、細胞質は不透明、N/C比は比較的高く、核は多核や分葉状で、多くは濃縮して認められた。
以上の細胞所見より、これらの細胞を巨核球と診断した。
後日、免疫染色にてFactorⅧ関連抗原を染色したところ、大型細胞は陽性を示し、巨核球でよい所見を示しました。

組織所見

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TBLB及び摘出肺に認められた腫瘍細胞は小型で核クロマチンが増量し、胞体は乏しい。
細胞膜にCD56 陽性所見を認め、small cell carcinomaと診断された。

まとめ / 考察

本例は開胸術のために、肋骨を切断したことにより骨髄液が胸腔内にもれ、胸腔洗浄液に混入したものと考えられます。
巨核球は大型な事が多く、核形に大小不同や多形性があるので、癌細胞と間違われる事があり注意が必要と考えられた。

病院別