腹水細胞診に出現を認めた卵巣顆粒膜細胞腫の一例

竹田健彦1)、島 寛太2) 、小鳥遊明1) 、森 将1) 、稲村達生1) 、柴田崇宏1)
鵜飼真由1) 、原田統子1) 、岸上靖幸1) 、小口秀紀1)

症例

腹水 50歳代 女性
14 年前に左卵巣腫瘍に対して左付属器切除後の状態。その後現在までに数回の腹膜播種切除術が施行された。今回腹膜播種結節再発に対して行った切除術時の腹水細胞診検体が提出された。

細胞診所見

壊死や炎症細胞浸潤は指摘できない綺麗な背景で、個細胞性から細胞小集塊が散在性に認められた。これらの細胞は繊細なクロマチンを有する不整形の核を有しており、所々で核溝の形成も認められた。

組織所見

ほとんどシート状の形態で密に増殖する腫瘍であった。この細胞には細胞診と同様に核溝の形成を認めた。既往検体の所見と併せて顆粒膜細胞腫と診断した。一部ではクロマチンの濃染した未熟な細胞が密に増殖する領域も認められたが、異型の程度が異なる顆粒膜細胞腫と考えた。

まとめ / 考察

通常では細網線維増生を伴う腫瘍で、腹水細胞診に出現することは稀と考えるが、本症例の様に再発を繰り返した場合では腹水細胞診内にも出現すると思われた。

病院別