誤認され得る横紋筋肉腫の一例

大島康裕1)、小林雅子1)、近藤吉起1)、細田和貴2)

症例

頸部リンパ節 20歳代 女性
持続する鼻閉症状を主訴に近医を受診、画像にて右鼻腔から副鼻腔に腫瘤が指摘された。前病院で同部位の生検により嗅神経芽細胞腫の病理診断がなされ、治療目的に当院を紹介受診した。精査にて右顎下リンパ節の腫大が認められ、穿刺吸引細胞診並びに頸部リンパ節摘出生検が施行された。

細胞診所見

パパニコロウ染色標本において、小型円形細胞が個在性に多数認められた。小型円形細胞は、顆粒状の核クロマチン構造を容れる軽度不整形核と狭小な細胞質からなり、一部では核溝や核のくびれ、ロゼット様の構造物がみられた。また、多数の核分裂像が認められた。以上から、Olfactory neuroblastomaの転移として矛盾しないと判定した。

組織所見

リンパ節の摘出生検では、小型円形細胞が、線維性の隔壁様構造を縁取るように配列した胞巣状構造がみられ、胞巣中心部では細胞間結合が低下し孤立散在性の細胞がみられた。小型円形細胞は、Desmin、Myogenin、MyoD1に陽性を示し、また、FISHにてFOXO1遺伝子再構成が認められた。以上から、胞巣型横紋筋肉腫およびそのリンパ節転移と診断を修正した。

まとめ / 考察

若年者の鼻腔・副鼻腔腫瘍では胞巣型横紋筋肉腫と嗅神経芽細胞腫の鑑別は常に問題となり、両者の細胞学的所見も重複がみられる。これらの診断の際には両者を鑑別として挙げることが重要である。

病院別