2回の穿刺吸引細胞診が行われた耳下腺多形腺腫由来癌の1例

中嶋綾香1) 川島佳晃1) 浦野 誠2)

症例

耳下腺 60歳代 男性
健診の画像診断にて偶発的に右耳下腺腫瘍を指摘された。 初診時1回目とその半年後に2回目の穿刺吸引細胞診がなされた後に腫瘍摘出術が施行された。

細胞診所見

1回目:良悪性の判断に苦慮する好酸性上皮細胞集塊を認め鑑別困難と判定した。
2回目:定型的な多形腺腫の細胞像で良性と判定した。

組織所見

唾液腺導管癌成分を含む被膜内型多形腺腫由来癌像で、良性多形腺腫部分、上皮内癌部分からの移行像を認めた。

まとめ / 考察

1回目の異型好酸性細胞は唾液腺導管成分を反映していたものと考えられた。多形腺腫由来癌の細胞診断において良性・悪性両成分が認識できることはまれであるが、 臨床経過や既往歴に注意を払うことが重要である。

病院別