EUS-FNAで経験した膵腺房細胞癌の一例

○釘宮弥里1), 松田知世2), 今井裕1)

症例

膵臓 70歳代 女性
膵体部の境界明瞭、6cm大の腫瘤についてEUS-FNA施行

細胞診所見

小型から中型の異型細胞が重積性および緩い集塊状に出現していた。核は類円形で著明な核小体を有し、細胞質は顆粒状を示していた。以上より、Carcinomaと診断し、第一に膵腺房細胞癌を推定した。

組織所見

EUS-FNA検体では好酸性胞体、核小体の目立つ類円形核を有する均一な腫瘍細胞がびまん性あるいは腺房状に増殖していた。肺転移巣のVATS検体でSynaptophysin (-)、ChromograninA (+; ごく一部)、β-catenin (+; 細胞膜)、Trypsin (+)を示し、膵腺房細胞癌と診断された。

まとめ / 考察

腺房細胞癌の判定には大型核小体や顆粒状に増量したクロマチンの観察が重要である。ただし、細胞診のみでは神経内分泌腫瘍やSolid-pseudopapillary neoplasmとの鑑別が困難な場合が多く、組織所見と合わせて最終診断を行う必要がある。

病院別