Two cell patternを示した尿細胞診の1例

〇中川篤1,2, 片桐恭雄1, 岩田明子1, 安藤咲恵1, 北野素子1, 水野加織1, 佐々木健太1,2,
川村勇人1,2(CT),〇宮崎龍彦1, 酒々井夏子1, 小林一博1, 久松憲治1(MD)

症例

尿 70歳代 男性
自排尿 70歳代、男性
主訴 肉眼的血尿。
1年7ヶ月前S状結腸癌(T4bN1M0)の切除術後、フォロー中に肉眼的血尿の訴えあり、自排尿細胞診が行われた。

細胞診所見

小型裸核状でindian file配列やpair cell結合を示す異型細胞集塊が認められた。核クロマチンは微細で密に増量し、核小体は目立たない。その他に、やや大型で核の大小不同が目立ち、胞体がやや広い重積性のある異型細胞の集塊も僅かながら認められた。small cell carcinomaと推定し、urothelial carcinoma合併の可能性も示唆された。

組織所見

小型裸核状異型細胞が地図状の壊死を伴ってシート状に浸潤性増殖を示していた。また、大型異型尿路上皮細胞の上皮内増殖像を認めた。両者には一部移行が認められた。免疫組織化学で、前者と後者はCD56(+/-), Synaptophysin(+/-), GATA3 (-/+ 以降像あり), p63(-/+), MIB-1 highであった。UC in situを伴うsmall cell carcinomaと診断した。
まとめ/考察
 尿路上皮内癌から生じた膀胱小細胞癌と考えられ、細胞診では小細胞癌様成分と僅かな尿路上皮癌様成分のtwo cell patternが認められた。尿細胞診でこのようなtwo cell patternを認めた場合にはsmall cell carcinomaと、その母地となる腫瘍を想起する必要がある。

病院別