化生性髄膜腫の1例

山本侑季、大池里枝、山田知里、佐藤朋子、佐竹立成

症例

頭蓋内腫瘍 50歳代 男性
早朝に体調不良を訴え、その後意思疎通がとれなくなり救急搬送された。頭部CTで左頭頂部に腫瘍を認め、脳腫瘍疑いで頭蓋内腫瘍摘出術が施行された。

細胞診所見

Papanicolaou染色では、泡沫状細胞質を有する細胞が多数認められたが、形態の異なる細胞集塊も少数観察された。この細胞集塊は類円形細胞や紡錘形細胞で構成され、軽度の核腫大や核溝、核内封入体を認めた。これらは髄膜腫に由来する細胞として矛盾しないと判断した。加えて、髄膜腫由来と考えられる少数の紡錘形細胞の細胞質内に、泡沫状構造が認められた。

組織所見

類円形細胞の増殖と、淡明な胞体を有する細胞(泡沫細胞)の増殖から成り、両成分の間には連続性を認めた。類円形細胞と一部の泡沫細胞はEMA染色で陽性を示した。
加えて、泡沫細胞はズダン染色陽性、CD68陽性、PAS染色陰性、大部分がリゾチーム染色陰性を示した。この結果から、泡沫様細胞は髄膜腫細胞が化生したものと判断した。以上より、本症例は化生性髄膜腫と診断した。

まとめ / 考察

細胞診で化生性髄膜腫と診断した1例を経験した。多数の泡沫細胞と通常の髄膜腫に由来する細胞集塊がみられ、化生性髄膜腫と診断することが可能であった。

病院別