穿刺吸引細胞診で判定に苦慮した腺様嚢胞癌(充実型)の1例
症例
気管周囲腫瘍 60歳代 男性
200X年5月中旬から嗄声の自覚あり、右反回神経麻痺で200X年6月当院紹介受診。造影CTにて気管に2.0cm大の腫瘤性病変を認めた。
200X年5月中旬から嗄声の自覚あり、右反回神経麻痺で200X年6月当院紹介受診。造影CTにて気管に2.0cm大の腫瘤性病変を認めた。
細胞診所見
小型でクロマチン増量した裸核状の異型細胞が孤立散在性に出現。一部、細胞密度の高い集塊も認めた。核は類円形~多角形、角張ったものも見られるが比較的均一。核線を引いている部分もあった。
組織所見
裸核状の類円形核を有する腫瘍細胞が、核線を引きながら密に増殖。一部、腺腔形成を伴っていた。免疫組織化学で腫瘍細胞はAE1/AE3(+)・CD56(-)・Synaptophysin(-)・Chromogranin A(-)・TTF-1(-)・MYB(+)を示し、ki-67陽性細胞は50%程度。Alb-PAS染色で篩状構造の部分に真の腺腔と偽腺腔を認めた。組織像からは小細胞癌が鑑別に挙がるが、染色結果より充実性胞巣成分が主体の腺様嚢胞癌と診断された。
まとめ / 考察
腺様嚢胞癌は管状、篩状構造、および充実性を呈し、篩状構造が典型像である。
充実型では、特徴的な構造がみられず、腺様嚢胞癌と推定することが難しいとされている。
本症例も細胞診では判定出来なかったが、今後は発生部位や臨床情報なども考慮し、鑑別に挙げられるように努めたい。
充実型では、特徴的な構造がみられず、腺様嚢胞癌と推定することが難しいとされている。
本症例も細胞診では判定出来なかったが、今後は発生部位や臨床情報なども考慮し、鑑別に挙げられるように努めたい。