肺原発腺様嚢胞癌の一例
症例
気管支擦過 60歳代 女性
胸痛・呼吸苦を主訴に近医で受診。左肺に無気肺を認めたため、当院に紹介された。
胸痛・呼吸苦を主訴に近医で受診。左肺に無気肺を認めたため、当院に紹介された。
細胞診所見
気管支擦過細胞診標本中には結合性の強い異型細胞が大型の集塊となって多数出現していた。核が10μm以下と小さく、核クロマチンは顆粒状で増量し、核小体の肥大を示す異型細胞を認めた。また核がさらに小さく核クロマチン増量が強く見られ、核小体の肥大を認めない細胞が少数認められた。2相性の分化を示す細胞が存在すると考えられた。また篩状構造を示す細胞集塊も認められた。
組織所見
肺生検標本には気管支上皮下に管腔形成を伴った腫瘍細胞巣を認めた。免疫染色ではp63陽性を示す筋上皮細胞が腫瘍細胞巣の周囲を取り囲んで認められた。腫瘍細胞の管腔内にはPAS陽性物質を容れた管腔とAlcian blue陽性物質を容れた管腔が認めらた。以上の所見から腺様嚢胞癌と診断された。
まとめ / 考察
腫瘍細胞の2相性と篩状構造を示す細胞集塊の存在が診断を推定する所見と考えられた。