良悪の判断に苦慮した小児の耳下腺腫瘍穿刺吸引細胞診の一例
症例
左耳下部 10歳代 女性
半年前から左耳下部の腫脹あり。1週間前から急に増大し、表面も赤くなった為、近医を受診。抗生剤で経過観察となったが、大きさは、変わらず。当院に精査を依頼され、耳鼻科受診となった。
半年前から左耳下部の腫脹あり。1週間前から急に増大し、表面も赤くなった為、近医を受診。抗生剤で経過観察となったが、大きさは、変わらず。当院に精査を依頼され、耳鼻科受診となった。
細胞診所見
N/C比の非常に高い小型の円形異型細胞が、重積性集塊で多数認めた。核クロマチンに富む裸核状の異型細胞集塊と角化物質・扁平上皮様細胞を認めた。
組織所見
毛母細胞に類似する好塩基性細胞の増殖と陰影細胞がシート状に増殖する毛母腫の所見。陰影細胞の周囲を、異物巨細胞性にくげ反応や化膿性炎症を認め、陰影細胞領域の一部に石灰化沈着を伴う。
まとめ / 考察
石灰化上皮腫は、細胞診検体として提出されることは非常に少ない。細胞像は、小児の悪性腫瘍、扁平上皮癌や神経内分泌癌などの悪性腫瘍と見間違う可能性があった。小児の腫瘍で発生頻度が高いため、発生部位、画像診断情報も考慮して、慎重に診断すべきである。