診断に苦慮した子宮癌肉腫の一例

近藤 倫久・片山 雅貴

症例

子宮体部 50歳代 女性

細胞診所見

背景は汚く、重責性を伴う内膜細胞集塊とともに、やや小型で、一部裸核様や紡錘形を示し、核腫大、クロマチン濃染、核小体明瞭の内膜間質に類似した異型細胞が孤立散在性に認めた。上皮系の異型細胞(内膜由来)と非上皮性の悪性細胞(間葉系や肉腫由来)を疑った。

組織所見

異型性の目立つ上皮性腫瘍細胞が、乳頭状のパターンを示し増殖する Serous carcinoma に相当する所見を認め、免疫組織化学では、p53、p16が陽性、PTENの染色性は保持されており(癌の部分)、また、紡錘形~類円形の多型性を示す腫瘍細胞が、密に増殖しており、エオジン好性のラブドイドな細胞を散見していた(肉腫部分)肉腫性の腫瘍部分では、筋マーカーであるデスミン陽性で、かつ、横紋筋マーカーのミオゲニンに陽性を示した。

まとめ / 考察

上皮成分、非上皮成分ともに高度な異型性を有し、多彩な細胞像を呈すため、悪性度判定は容易ではあるものの、精確な組織型判定は難しい。組織像と比較することで、各細胞所見の意義を見出すことができた。

病院別